2023.12.1
倉敷市にパラスポーツで長年活躍をつづけている選手がいます。
2023年10月28日~30日に開催された「~燃ゆる感動~かごしま大会 特別全国障害者スポーツ大会」水泳競技で、2年連続2冠を達成された濵田裕之さんです。
水泳男子・視覚障害者2部(区分23)25m自由形・25m平泳ぎで自身の記録を更新し、ともに大会新記録で金メダルを手にされました。
「全国障害者スポーツ大会」には、第1回大会(2001年)から20年以上にわたり出場しています。
早くも来年の大会へ向けて練習をしている濵田さんに、日頃の練習場所である「倉敷市屋内水泳センター」でお話をお伺いしました。
Q1 2冠&大会新記録おめでとうございます。お気持ちはいかがでしたか?
ホッとしたというのが1番です。
今シーズンずっと調子が悪かった。自信がもどらない中、去年より少しだけいい記録を出すことができました。
今になると、大会前に気が付いて泳ぎを修正した部分が良かったのかなと思っています。
Q2 長年第一線で活躍されてます。勝負へのこだわりは?
試合では”負けたくない”気持ちはあります。
見えない中で泳いでいるので、相手というよりはタイムを意識しています。
勝ち負けは結果であって「最善を尽くす」のが大切です。
年齢的に、これからタイムがすごく速くはならないので、
どれだけベストに近い記録で泳ぎ続けられるかが重要だと考えています。
Q3 パラ水泳競技との出会いは?
目の病気は生まれつきですが、ある程度は見えていて普通の生活をしていました。
水泳はここ(屋内水泳センター)で参加した親子教室が初めてで、小学校卒業まではスイミングに通っていました。
スポーツ自体を辞めていた時期もありましたが、大学で水泳部に入りました。
24歳から通いだした盲学校で「全国障害者スポーツ大会」の存在を知り、「練習したら、いけそう」と思ってパラ水泳をはじめました。
第1回大会に出場し、50m、100mの平泳ぎで優勝できました。
Q4 日々のトレーニングは?
基本的には土日の週2日、ウォーミングアップも含め約2時間で3000m泳ぐと決めています。
水泳のほかには腕立て、スクワット、なわとびの自重を使ってできる簡単な筋トレをおこなっています。
Q5 泳いでいる時は何を考えていますか?
相当集中しないとまっすぐ泳げないので、自分の姿勢を想像しながら泳いでいます。
試合の時はブラックゴーグル[※]をかけ、
「今までやってきたんだから、思い切っていけ。」
そういう気持ちで臨んでいます。
コースアウトしてしまう時もあるが、攻めないと記録も出ないので、自分の感覚を信じるしかない。そこに尽きます。
[※]…パラ水泳競技視覚障がいクラスで公平性を保つために使用する完全遮光のスイミングゴーグル
Q6 今後の目標は?
毎回、全国大会の出場権を取るのが目標です。
出場できない年もあるので「全国制覇」ではなく、1年をかけてそのための練習をしています。
予選が終わってはじめて全国大会を見据えます。
Q7 最後に、市民の方に伝えたいことはありますか?
いろんな障害を持つ方がいて、皆さん個々に目標をもってさまざまな分野で努力をしています。
そういう人を見る機会があれば、温かく見守ってほしい。
頑張っている人もいるんだなということを知ってほしいと思います。
「全国大会には普段いけない場所に行ける楽しみもある」
「泳ぎ続けるのは体型と健康維持もあり、できるだけ若くいたいんだ」と話す、ひょうひょうとした雰囲気の濵田さんですが、取材中には言葉の端々から、勝負に臨む強い意志を感じました。
年末年始はオフで身体を休め、正月明けから4月の予選会に向け照準を合わせるといいます。
「過去は意識せず、その年、その場の試合でいい泳ぎをしたい」
常に新たな気持ちで挑戦をつづける濵田さんのこれからの御活躍も応援しています!