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  • 日の丸をつけて世界へ! アーチェリー 大江佑弥選手

2021.2.1

表情を変えず、一定のリズムで矢を射ち続ける選手。その弓から放たれる矢は、時速200㎞以上で数十メートル先の的にどんどん的中していく。オリンピックでそんな日本人選手の活躍を目にした方も多いのではないでしょうか。
雨でも風が強くても続行し、雷と的が外れるほどの天気でないと中止しない。そんな「自然と人間の戦い」を象徴する一面も持つ過酷なスポーツ・アーチェリー。競技人口でみるとマイナーではありますが、“弓と矢を引く”原始的でシンプルなスタイルは案外身近で、生涯スポーツとして人気が高まっています。また健常者と障がい者が対等に戦える数少ないスポーツです。
今回は、岡山県「パラリンピアン育成事業」強化指定選手のパラアーチャー、大江佑弥選手(倉敷市役所 所属)に取材させていただきました。 (リモート取材)
 
 
Q1 アーチェリーとの出会いを教えてください。
 
27歳の時に3回目の脳出血を発症し、右半身麻痺の障害が残りました。半年間の入院後、何かやりたい!と言う強い想いから、障害者スポーツを探していました。ですが、私の障害ではどのスポーツも競技としては、全力で取り組めそうにないものばかりでした。そんな時、弓を口で引いている人の写真を見ました。これなら私にも出来るのではないかと思い、アーチェリーに興味を持ちました。しかも、その写真で見た方は日本代表の強化選手として第一戦で活躍している人でした。パラアーチェリーで世界の舞台で活躍したい!という思いでアーチェリーを始めました。
 
 
Q2 競技の魅力はどこにありましたか?
 
まず第一に、自分の思い通りに射って真ん中にあった時の爽快感です。これはぜひ皆さんにも1度経験していただきたいです。それと、健常者と障害者が同じレベルで同じ舞台で一緒に競えるということです。これは私のようなパラ選手には最大の魅力だと思います。ハンデがあっても勝負には勝ちたいです。まぁ自分の障害をハンデだとは思っていませんが…(笑) あと、アーチェリーはメンタルスポーツです。上達すればするほど、メンタルコントロールの重要性を感じます。
 
 
Q3 普段の練習はどんなことをされていますか? またどのぐらいの大きさのものまで狙えるのでしょうか?
 
普段の練習は、仕事が終わってからの1時間から2時間しか時間が取れません。少ない時間の中でいかに効率が良く、意味のある練習が出来るかということを意識して練習しています。内容は実際に射つ練習と筋トレがメインです。たまに水泳や瞑想もしています。
競技では、50メートル先の的の10点(8センチ)を狙っています。50メートル先のリンゴも簡単に射貫くことが出来ます。
 
 
Q4 大江さんは競技を始めてから数年で国内外の大会で優勝をされていますが、試合の中で心がけていることや、駆け引きなどはありますか?
 
私が試合で意識していることは、とにかく自分のやってきたことを信じて、自信をもって自分のアーチェリーが出来るように心掛けています。大会では相手がいますが、相手の結果は自分の結果に全く影響がないので、意識しないようにしています。これが案外難しいです。自分のパフォーマンスに集中できている時に、良い結果を残せていることが多いと思います。
 
 
Q5 今までの試合や大会で印象深い思い出やエピソードを教えてください。
 
令和元年9月に福井県で開催された全国大会で、試合開始直後は天気も良く気持ち良く射てていたのですが、中盤から雲行きが怪しくなり、夕立のような雨が降りました。雨が止んだと思えば次は強風が吹き、終盤には、太陽が出てきて良い天気になりました。こんな目まぐるしい天候の中でも、競技は続行します。改めて過酷なスポーツだな、と実感しました。その試合は、大接戦だったのですが2位に2点差で優勝することが出来ました。(雨の試合も嫌いではありません。)
 
 
Q6 かなりの集中力を要する競技ですが、私生活や仕事に影響を受けることなどはありますか?
 
アーチェリーをしてみて体感したことは、オンとオフの切り替えを上手く出来るようになった事です。試合中は、ずっと集中しているわけにはいかないので、緩めるところは緩めて、集中する時は、ギュっと集中することが大切です。この事が日常生活や仕事にも結び付いていると思います。
 
 
Q7 アーチェリーを観戦する際の注目ポイントや、知るともっと面白くなることなどを教えてください。
 
パラアーチェリーの見所は、障害に応じて様々なフォームやスタイルの選手がいることです。口で射つ選手、足で弓を支える選手、車いすに座って射る選手などが登場します。さまざまなスタイルで競技に臨み、感情の起伏を抑えて矢を放ち続ける集中力にご注目ください。アーチェリーは一瞬の雑念が成績を左右するため、プレッシャーをはね返す驚異的な精神力と集中力が勝敗を決める大事なポイントとなります。
 
 
Q8 これからアーチェリーを始めてみたい人へメッセージをお願いします。
 
アーチェリーは、子供からお年寄りまで、年齢に関係なくそれぞれのレベルで始められるスポーツです。「運動はちょっと苦手だな」「体力がなくて不安だな」という方でも大丈夫です。矢を射るという、非日常を体験してみて欲しいと思います。倉敷にも体験できる場所があるので、気軽に行ってみてください!
 
 
Q9 今後の目標や意気込みをお聞かせください。
 
今後の目標ですが、日本の強化選手になり、日の丸をつけて世界の舞台で戦うことです。仕事と競技の両立で大変なことも多いですが、その状況を楽しんで頑張っていきたいです。また、多くの方が応援してくれています。そしてこれからも、応援してくれる方を増やし、その応援を力に変えて頑張っていきます!皆様、応援よろしくお願いします。倉敷から世界へ!羽ばたきます!
 
 
 
目指す方向をしっかり見据え、競技への思いを語ってくれた大江選手。
2020年はトップクラスのアーチャーだけが出場できる国内最高峰の「全日本ターゲットアーチェリー選手権」に初出場し、今後ますますの活躍が期待されます。
自身の夢を叶えながら、多くの人々に希望と活力を与えてください。
世界の舞台で戦う姿を心待ちにしています。
 
 
 
大江佑弥選手
倉敷市玉島出身 
パラアーチェリー競技歴5年目
27歳からアーチェリーを始め、現在、国内外の大会で活躍中
学生時代は野球部に所属し、倉敷商業高校時代は硬式野球部でレギュラー(センター)
を務めた
令和元年度、令和2年度岡山県パラリンピアン強化指定選手
東京オリンピック岡山県聖火ランナー(予定)
メディア出演も多数
 
主な成績等
・アメリカ(ラスベガス)ベガスシュート
2019、2020 コンパウンドリミテッド部門 優勝(2連覇)
・第48回全国障害者アーチェリー選手権大会 コンパウンド男子 優勝 
・第62回全日本ターゲットアーチェリー選手権大会(健常者の大会)
男子の部決勝ラウンド進出9位 
・日本身体障害者アーチェリー連盟ランキング6位(令和元年12月時点)

 
主な受賞歴
・2018年岡山県トップアスリート賞
・平成29・30年度 倉敷市体育章
・令和元年度 倉敷市スポーツ章